塔のある家:
メゾネットタイプの2つの世帯
箱型の二世帯住宅プランが始まりだった。施主さんの親子関係…要するに、親と子のプライバシーの問題をどうやって解決するかというのが最大の問題だった。
一つの入り口から左右の玄関にそれぞれ入るというメゾネットタイプ。重要なのが、視線がぶつからないような仕掛けを敢えて考えたこと。建物を折り曲げ、互いの視線が反れるように設計。それによって建物の曲線的な動きが、強いブーメランのように出来るので、その折り曲げたところの空間を使って、バルコニーを設置。そこは、老夫婦の好きなガーデニングを楽しむ場となっている。
親子関係は、ちょうど双方にとって心地よく、遠くでもなければ、近くでもないという距離感…親のことを意識しながら、でも自分たちのプライバシーも守れるような二世帯住宅となって、いい結果に繋がったと思う。
その折り曲がることによって出来た躯体のエネルギーは、十字路に面して踏み止まり、天に向かって塔となった…人や車から身を護る要塞となって、完結した。